ビジネスチーム

古き良き龍角散 ~受け継いできた喉の元気~

東神田のランドマークとも言われているこの個性的なビル一体何の建物なのでしょうか。

ここは「ゴホン!といえば龍角散」でおなじみの「株式会社 龍角散」の本社です。芸術的な建物を建てた会社の社長はどのような方なのでしょうか?
お話を伺ってきました!

―株式会社龍角散 藤井 隆太社長にお話を伺いました

藤井社長
「父には、龍角散は必ず世襲でやらなければならないということはないから音楽をやっていてもいいけれど、その代わりちゃんと食えるようになれと言われていました。学生時代は桐明学園で音楽を学び、厳しい特訓を受けました。卒業後はフランスに留学し、帰国すると、“世の中はいろんな仕事があって、それを経験することは音楽をするうえでも有利だ”という父の助言を受け、まず小林製薬に就職しました。音大を出てフランスで音楽を学んでいた私が、小林製薬で勤まるかどうかは定かではなかったけれど、営業成績はトップでした。その後、三菱化成工業(現・三菱ケミカル)へ転職し、約10年間働いた後、父ががんになり、龍角散を継ぐことになりました。営業現場を回ったり、工場に通って作業したりしてみて、やる気のない社員がいたり、売上もガタ落ちしていて、40億しか売上がないのに40億以上の借金があって、この会社に将来はないなと思いました。でも売り上げは少なくともまだゼロじゃないから、なんとか借金が返せるようになるまで頑張ろうと思いました。おかげさまで今、潰れずに借金はゼロになりましたし、売上も5倍になりました。それで25年たって今社長をやっております。」

なるほど、音楽をやっていてとても芸術的な方だということがわかりました!

フルート演奏を披露される藤井社長

龍角散といえば、、、身近な学生100人に聞きました!
私たちは喉が痛くなると龍角散が頭に浮かびます。

【質問】のど飴といえば思い浮かべるものは何ですか?

Instagramでの調査の結果、約半数の学生が「のど飴といえば龍角散」と答えていました。
このように常に身近にあるのど飴の会社の方は、私たちの喉だけではなく、地域の活性化を支えてくれています。

地域密着!~神田祭CMを通して~

神田祭バージョンのCMを作ったり、社長自身も法人会の副会長だったり、龍角散は地域に密着した活動に積極的です。
「なぜ利益にならないことをそこまでできるの?」
私たちの素朴な疑問に丁寧に答えていただきました!

藤井社長
「私は神田明神の氏子総代の一人ですから、せっかくの特別なお祭りだったら何か応援したいと思ったんですよ。当社の製品で何かお役にたてることはないかなというのはずっと考えいます。別に金儲けするだけが企業の仕事ではないんですよね。まあ結局は企業っていうのは、自分たちのためだけじゃない、お客さんはもちろん、地域のために貢献する責任があるんじゃないかなと私は思いますね。実際、おかげさまで夏場の売り上げなんかも上がっています。じゃなかったら続けてませんよ。地域の一員として当社は何ができるのかなって考えた上で、ちゃんと当社のためにもなってます。他にも直接利益になるとは思えないこともやってます。なぜ自分からやるのか。それはやっぱり地域の安定だったり国の繁栄だったりそういうことが大事なんですよ。自分の利益だけじゃないってことが考えられるということですね。逆に私はそういうことをさせていただけるってことはありがたいことだと思います。別に自分の会社だけ儲かればいいってわけじゃない。」

純粋に地域の繁栄を応援したいという気持ちと、会社としての責任感というものが伝わってきました。「100年企業」の秘訣がわかったような気がします。

学  生
「貴社の守りたいイメージと若者に伝えたいイメージが協調していますか。また、そのためにどのような工夫をなされていますか。」

藤井社長
「ブランドイメージはある程度オールターゲットでいいのではないかと思いますけどね。だけど、古いから良いということじゃないんですよ。ブランドイメージっていうのは伝統と革新なんですよ。 やっぱり古いけど進化するということがないと時代の流れに置いてかれるということですね。 もう1つ大事なことは社会貢献。この会社は一体なんのためにあるのかと。この製品は誰のためにあるのかと、こういうことを明確にしておかないと。 当社が存在することで救われる命がある。あるいはQuality of LIFE。生活の水準が向上する、ということがあればやるべきですよ。そもそもそういうポリシーなんですよ。 自分が儲けるだけだったらまあ、長続きはしないと思いますよ。」
学  生
「若者向けにはどのような広告や戦略をやっていますか。」
藤井社長
「多少年齢差で訴求ポイントは変えてます。大事なのはメディアの使い方。 若い人たちはほとんどテレビ見ないでしょ、ネットでしょ。メディアの使い方は物凄い考えてて、ネット広告も積極的に活用していますよ。 まあ、メディアの使い方もそうだし、若いお母さん方はテレビを見る時間もないから、そういうときはイベントに出展します。 お母さん方向けのイベントがありますから。そういうときは皆さんから積極的に質問を受けていますよ。 」

龍角散ドリンクのバズもメディアを使った広告として考えられた物なのでしょうか??

2017年の冬、Twitter上で「龍角散ドリンク」というものが流行しました。作り方としては、500?の水に龍角散ののど飴を数個入れて出来上がりというもの。これが喉を傷めた時に効くと話題。そこで、私たちは「龍角散ドリンク」について社長に聞いてみました。

学  生
「龍角散ドリンク」についてご存じですか、ご存じであれば、どのように思っていますか?
また、海外展開と同様、今回も「龍角散ドリンク」も会社として仕掛けた結果でしょうか。
藤井社長
「知っていますよ。ただ、のど飴を水に溶かすというのは、我々は想定してないことです。それで、何か問題が起きても、我々は責任を取れないということです。これはもう開けるまではこちらの責任だけど、開けた後は正しく使ってくださいねと。だから我々は自らそういうことは言わないということです。
聞かれたら、『それは当社ではお勧めできません』とお答えします。 のど飴だってそのまま舐めたほうがいいですよ。これは原則だからね。だからうちからは仕掛けはしていません。一切やっていません。困ったなと思ってましたけどね。
企業として正しいことを正しく伝えることが大事。食品ののど飴は薬のように効能・効果があるわけではないので、「すっきり」としか言えません。効能・効果を求めるのであれば医薬品の龍角散ダイレクトがあります。また、タブレットは小さいから舐めるのに便利でしょ、これはうちのコンセプト通り。しゃべりたいんだったらこういうのもありますよと。使い分けがちゃんとあるわけです。」

日本だけではなく、実は海外でも多くの人の喉を助けています!

藤井社長
「海外展開については、微粉末の龍角散の出荷量は日本の4~5倍とシェアが大きく、グローバルブランドです。台湾は暑いので喉の薬ってあんまり売れないという意見もありますが、大気汚染もあるし中華料理は油が飛ぶ。それで喉が炎症する。だからオールシーズン売れています。韓国は黄砂も多いし、ヒエラルキーを尊敬する文化だから先生の日になると、声使ったり、チョークで書いたりして喉痛める先生のために龍角散をプレゼントするらしいです。 国が違うと、文化とか習慣とか全然違いますよね。
各国で様々なメーカーと一緒にプロモーションを実施しています。家庭薬の養命酒、正露丸、救心、太田胃散などみんな仲間です。常にビジネスっていうのは先手を打つのが重要で、震災が起きたときバタッと売り上げが下がりました。そのとき海外の売り上げが良くなったのでおかしいと思ったら、海外で龍角散を買っていることが分かりました。海外を相手にするときは、異文化を理解することが大切で、向こうのライフスタイルに入り込めるかどうかが重要です。
1978年、ACCの広告大賞いただき、「ゴホン!といえば龍角散」が定着しました。しかし、昔いいからと言って今もいいってことじゃないから売り上げが下がり、どん底のときに社長になりました。私なりに分析し、古いだけじゃだめで時代の変化に合わせることが必要だと。だから一番大事なのは伝統と革新です。それがないといかに古くからある製品だとしても生き残ることはできません。」

学  生
「最近よく耳にするセルフメディケーション。若者とか学生が独断で誤った治療を防ぐにはどうしたら良いでしょうか?」
藤井社長
「セルフメディケーションとは自分で勝手にやりなさいということではありません。それは、自分で勉強し、自分の体の状態をしっかり把握し、何ができるかという知識を得ることです。ネットの情報が全部正しいというわけではないので、ときには医師や薬剤師に聞いて、正しい対処をすることが大切です。」
学  生
「私たちができる生活防衛としてなにがあるでしょうか。」
藤井社長
「我々ができる生活防衛としては、できるだけ強い薬は使わなくていいようすることです。まずは自ら頑張り、出来るだけ病気の発症を遅らせるようにすることです。予防としては飲み過ぎ食べ過ぎず、ちゃんと適度に運動するという当たり前のことが大切です。昔から日本の家庭ではおばあちゃんがお母さんに、お母さんが子供にこのように教えるのです。自分で健康になる努力をしましょうと。ちょっと具合悪いからといって、すぐにお医者さんに行くと、お医者さんも忙しくて申し訳ないから、家にある薬を使って様子を見ましょう、それでダメだったらお医者さん行きましょう、と。これが日本人の美徳でした。今でもそうありたいと思いますが、医療保険制度が充実していて、何でもかんでも医療はタダって思ってしまうと、医療保険制度の崩壊につながってしまいます。私は、それを非常に危惧しています。そうならないように、自らの健康を自分自身で守らなければいけません。」

伝統と革新を意識しながらセルフメディケーションに龍角散を活用する、そんなことを強く意識しました。病院に行くことがだめなのではなく、「未然に防げること」を考えることが大事ということですね。自分の体は自分が一番細かい変化に気づくと思います。気付いた時に、自分自身で治せるならそれに越したことはないですよね!のどが変だなと思った時には病院に行く前にぜひ龍角散を!!

藤井隆太 (ふじいりゅうた)
龍角散 8代目社長
1959年東京生まれ。桐朋学園大学音楽学部卒業。
仏パリ・エコール・ノルマル音楽院留学の後、桐朋学園大学音楽学部研究科を修了。
小林製薬、三菱化成工業(現・三菱ケミカル)を経て、94年龍角散入社、95年代表取締役社長に就任。
世界で初めて開発した服薬補助ゼリー「らくらく服薬ゼリー」、「おくすり飲めたね」のヒット、基幹商品「龍角散」の姉妹品「龍角散ダイレクト」の投入などで累積赤字を一掃。売上を就任時の5倍まで伸ばす。また、東京都家庭薬工業協同組合副理事長、日本家庭薬協会副会長を歴任するなど、業界の発展に尽力しながら、フルート奏者としてコンサートへの出演や後進の指導にもあたっている。

龍角散WEBサイト
https://www.ryukakusan.co.jp/
龍角散公式twitter
https://twitter.com/Ryukakusan_PR

<取材・文>
大妻女子大学
社会情報学部
中島 舞
大妻女子大学
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開出 ひかる
大妻女子大学
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山下 優佳
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安田 陽奈
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鈴木 ひかり

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